先月、仕事の打合せで長く仕事を一緒に続けてきたクリエイターと本音で話す機会がありました。かれはいまの職場では7年目。中堅というよりもチームを率いる立場の人間です。仕事も充実しているようだし、とくに会社に対して不満もないように思っていましたがボソッと本音がこぼれてそれから止め度なく不満が漏れ始めました。

「正直、もうこの仕事をやめようと思っています。」

そう突然告げてきたのです。これには正直驚きましたが、私自身がわりと自由に生活していたりクリエイター向けのコンサルティングも行なっていたのを知っていたので何か相談をしたかったのだと思います。話を聞くと、

「とにかく仕事に追われていて、もうここ何年も。いつも仕事が終わらず、たまに自分が何をしているのかわからなくなるのです」

そんなことを話しはじめました。勤め始めたころはとにかくがむしゃらで仕事を覚えて頑張っていましたが中堅に差し掛かり、ただただ仕事に追われるような感覚になっていると。プライベートも充実できず、どうしたらいいだろう。そんな相談でした。

 

辞められない理由はあげ始めればキリがない。

だからといってすぐにいまの会社を辞められないと彼はいいます。それはそのとおりでしょう。彼には家族もありますし、キャリアをどのように築くのか、収入はどうするのか。たしかに辞められない理由をあげはじめればきりがありません。では仕事力を改善してスーパーマンになるように努力するのか。

しかし残念ながら今回は仕事の生産性を向上させるという話にはなりませんでした。それは彼に蓄積した疲労がみえたからです。もう何年も抜けていないような重い疲労が。なので今回は仕事力を改善する内容ではなく、人生そのものを改善する方法を話すことにしました。

私は彼に3つの質問をしました。

Q1.あなたが今の仕事を続ける理由はなんですか?

はじめに私は彼にいまの仕事を続ける理由を尋ねました。もちろん給与がいいわけではありませんが安定した収入です。それにいままのキャリア。それと小さな会社でしたがそれなりに業界では評価されているというポジションもありました。

彼はそれらのことを書き出し、もう一度その紙をみつめました。私は次にこう質問しました。

Q2. あなたの人生の優先順位&思い描く未来は?

彼はすこし考え込んでから、家族との時間、自分の作品をすこしでも多くの人にみてもらうこと、家族が生活に困らない程度の収入。と書き出しました。そこには業界での評価や会社でのポジションという内容はありませんでした。

私は彼にさらに詳しく、具体的に何があなたにとって幸せなのか、幸せな状況なのかをかいてもらいました。彼はクリエイターらしく自分の理想をささっとイラストにして書き出しました。土日は家族で必ず近くの公園にいっている様子、大きくはないけれど自分が好きなようなリノベーションした実家近くのマンション。通勤は自転車。確実にたまる貯金。

3. 仕事を続ける理由と人生の優先順位を照らしあわせる。

そこまで書き出してもらうといま彼が本当に求めているものが見えてきました。それからもういちどQ1で答えた内容とすり合わせてもらいました。彼は驚きながらため息をつき、それから笑みをうかべました。たった15分前、自分が仕事を続ける理由、いままで固執していたものを整理し、そのあといま本当に自分が求めているもの書き出しました。

そこには彼自身が気がつかなかったおおきな隔たりがあるのがはっきりとわかり、彼はひとことこう言いました。

「軌道修正が必要ですね」

どうすれば理想に近づけるのか。何をして、何を捨てるのか。

いま紹介した方法は、すごくシンプルで簡単なメソッドではありますがもしあなたが仕事を辞めたい、でも辞められないと思っているのであれば、あなたがいま固執しているものと本当に手にれたい理想を照らしあわせてみましょう。きっと結果に驚くはずです。

人生は有限です。

あなたが本当に手に入れたいと思うことに固執しましょう。そしてそれを手にいれるためには何をすればいいのか考えましょう。理想を実現するには何が必要なのか具体的に考えましょう。家族を養い、マンション購入に頭金を貯めるにはいくらくらいの給料が必要なのか。いい給料であっても第一優先の家族との時間が削られるのであればNG。自分のなかの軸、優先順位をしっかりしていればただお金やポジションに釣られることなく、次のステップに確実にすすめるはずです。

ただしいきなり仕事を辞めたりといった方法はとらず、まずはどうすればそれが実現できるのか可能性を探してみましょう。転職という視野があるならまずは転職サイトに登録してみる。たった5分のことですがそれも大きな一歩です。

まずは自分の軸、優先順位をはっきりさせ、そのあとに自分の可能性を探る。小さな一歩ですが、確実に大きな変化がうまれます。